蒸留水/
霜天
雨の部屋に静かに崩れる砂の声に
それでも傘を差せずにいる
いつも狭い夕暮れだった
零れていくものといえば、僕らの影ばかり
当たり前なほどに
当たり前はなくて
二十年後の空の色よりは
今日の間違いはきっと少ないはずで
一つページを捲ると
また誰かが旅に出てしまう
いなくなる空間に返事は軽く響いて
全てが取り除かれると
透明を通り過ぎてしまう
そしてゆっくりと扉は閉められ、その鍵を誰も持っていない
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