言論の自由/
しゃしゃり
ある晩
月の灯りをあびて
一匹のカエルが
言論の自由を主張した
そしてほんとうのことを言った
それはほんとうに
ほんとうのことだったのに
ほんとうに
ほんとうのことだったので
秋が終わり
風が吹いて
月夜の晩に
カエルは一匹たりとも
鳴くことはなくなってしまった
おたまじゃくしは
大きくなったら
金魚になりますと
われた風鈴のようにつぶやくばかりだった
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