眼球たちの夏/
A道化
処かへ
行ってしまいそうでいて何処へも行かずただ真上に浮上し
隣り合った眼球と灼熱し合う、ようでいて、違う、
それぞれ違う灼熱を隠して
視神経は滲むから
数千羽は
それぞれ違う数千粒に還って
数千粒の
滴下してゆくことの
ポタポタする空きたての瓶のような痛み
を、隠し切れず
視神経までもが泣いたら
一粒の眼球のわたしを、別の一粒の眼球のあなた
嗚呼どうぞ、愛おしくして
2006.6.14.
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