サンドイッチマン/しゃしゃり
サンドイッチマンがはさまっていた
紫外線とアスファルトのあいだに
商店の右通りと左通りのあいだに
絶望と希望のあいだに
木の板とプラスチックの板のあいだに
ポルノの看板とストリップのポスターのあいだに
右翼の街宣車と宗教の宣伝車のあいだに
男と女のあいだに
川と土手のあいだに
空と花のあいだに
嘘と真実のあいだに
愛国心とロックンロールのあいだに
裏切りと愛のあいだに
気の弱さと思いやりのあいだに
明日と昨日のあいだの今日に
はさまって立っていた
突っ立ってはさまっていた
矢印は四方八方を向いていた
矢印の先に何が売っているのか
矢印の先に誰が並んでいるのか
矢印の先に何処があるというのか
サンドイッチマンは何も知らなかった
だから道行くひとびともわからなかった
わからないままあちこちへ向かった
だれも矢印の方向を失わないまま
どこへも行きつけはしなかった
サンドイッチマンがはさまっていた
はさまって立っていた
まるであなたのように
まるであなたとわたしのあいだの
一本の深い杭のように
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