名も知らぬ君から貰ったビスケット/こめ
 


階段で上り息切れしながら向かい

扉を開くと誰もいない遊園地

ふたりで乗ったメリーゴーランド

観覧車、バイキング、お化け屋敷

ネオンに囲まれた都会を見下ろしながら僕と君は

フェンスに寄りかかり夜空を見つめていた

君はポケットからずっと握りしめていた

ビスケットを取り出して

僕のポケットにねじ込んでフェンスによじ登り

ネオンの誘惑が行き交う世界に飛び込んでいった

僕は見ているだけ

何も出来ずぼーとしてたら夜が明けた

ぼくは涙をぼろぼろ流しながら

君からもらったビスケットを食べています

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