名も知らぬ君から貰ったビスケット/こめ
 
ポケットに入れっぱなしにしていた

まなあたたかいビスケット食べ

ほろ苦い味が口の中に拡がり

なんだかしょっぱいなと思ったら

嗚呼何だ、瞳から落ちる雨のせいかと

確認したときは目の前はもう

にじんでいてよく見えなかったよ

名前も知らない君と

一緒に電車に乗り込んで

ふたりっきりしかいない世界のなかで

君と僕は巣穴に隠れたきり出てこない

ひょっこり出した僕の頭

そして君もひょっこり頭を出して

目が合えばスグに巣穴に戻ってなかなか出てこない

人と人との人間観察

終点したら走って降りて

古いデパートの屋上に

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