指結び/霜天
 
君の心を何に例えよう
少し寂しい夕立の後の
立ち上っていく夏の小路
揺らげば揺らぐほど迷いたくなるから
雨の匂いを吸い込む真似をしている

あの、雨の匂い
全てを知っている、わけではないだろうけど
はぜた何かを吸い込んでいる
ひどく透明なもの


君の心、を何に例えよう

在り来りなもの
夏に向かう言葉の
行間にわずか、挟まったもの
いつまでも引き摺って取れないもの
ほんの、掛け違い

そんな、一言のずれ幅
それでも、すれ違える呼吸をやめられなくて
こんな夏に傾いた二人の歩調
はぐれそうなほど静かな、裏道


君に、心を何に(はぐれそうな日に)
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