誰かあの駒鳥を殺して/朽木 裕
 
「では、何故」 
そうして貴方はとても哀しそうに、わらった。 
わらったと云うよりは静かに口角を上げた。 
とてもきれいに。とても哀しそうに。 
「では、何故」 
私はもう何も云えないでいる。 
「何故、」 
答えなど貴方はとうに知っているのに。 
水溜りでは溺死しか出来ない。 
矢張り私は空を飛べない。 
「こんなにも、愛しているのに」 
「…それはこちらの台詞だよ」 
「夢のように消えてしまわないでくれ」 
「…何処へも行かない。約束を、する」 
だって空は飛べないのだから。 
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