「二人の絵」 海月と雨宮一縷/海月
二人が出会ったのは単なる偶然
出会いは必然と言う人を私は皮肉った
顔も知らない、背丈も知らない
名前も知らない、何も知らない
それでも君の描く絵は好きでしょうがない
キャンバスに垂れ流した水彩絵の具
画家の癖に筆の使い方を知らない
私はいつも手を使い絵の具で描く
誰も絵とは認めてくれなかった
その絵の作者は無名だった
その作品の名前は「二人の絵」と札が合った
その下に小さく住所が書いてあったから
僕は失礼覚悟で手紙を書いた
郵便受けを覗くと新聞と手紙が数枚
どうせ手紙は決まっていて精神科
入院して下さいと言う催促の内容
一枚だけは名前が書いてない手紙
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