誰かが君を責めていた時/若原光彦
誰かが君を責めていた時
君にちょっとした落ち度があって
むしゃくしゃした奴が教育にかこつけていたあの時
僕はそいつを責めていた
お前に言われちゃおしまいだよと
偉そうなことを言える立場かと思っていた
憶えておくがいい
そして誰かが君をあざ笑っていた時
数人が罠を仕掛けて
派手に転んだ君を遠慮なく笑っていた時
僕はそいつらを冷笑しようとしていた
馬鹿ってのは一ヶ所に集まるもんだと呆れていた
相手にするまいと胸に誓った
憶えておくがいい
そして誰もが君を避け始めていた時
どんなに賑やかな集まりも
君が通りかかると急に静まりかえっていた時
僕はそいつらを置き去ろ
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