「窓」/服部 剛
 

( 降り始めた無数に光る雨糸を眺め
( 雨宿りをしていた少女と出逢い 
( 人知れぬ部屋で 
( ずぶ濡れの服を脱いで 
( 互いの寂しい肌を暖め合っていた 


ふたりが窓を開けると 
雨上がりの夜に 
ある
叫びを閉じ込めた
濡れた黒い石が独(ひと)つ
宙に浮かんでいた 

石には
杖を突く老婆の姿が刻まれ
金色の線が滲んでいた


  *


私は夜の無人都市を歩いていた 

見上げた暗闇の窓の一つヘ
青い小鳥が入って行った 







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