「窓」/
服部 剛
( 降り始めた無数に光る雨糸を眺め
( 雨宿りをしていた少女と出逢い
( 人知れぬ部屋で
( ずぶ濡れの服を脱いで
( 互いの寂しい肌を暖め合っていた
ふたりが窓を開けると
雨上がりの夜に
ある
叫びを閉じ込めた
濡れた黒い石が独(ひと)つ
宙に浮かんでいた
石には
杖を突く老婆の姿が刻まれ
金色の線が滲んでいた
*
私は夜の無人都市を歩いていた
見上げた暗闇の窓の一つヘ
青い小鳥が入って行った
戻る
編
削
Point
(9)