バレンタイン始末/折釘
 
ためらいが 残しておいた 菓子の星
   夕日にひとつ 溶けて流れる


幾重にも 包んでしまう ゆびの白
   ちいさき粒も 重く冷たく


一言も 添えられぬまま この夜は
   正邪もつかぬ 甘さ飲み干す


花束を 枯れた姿で 送られる
   返すものなど ないと悟られ


記念日に 遅れて届く 無記名の
   人妻らしさ 水に馨らせ


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