平日の亡命/AB(なかほど)
と
数えて役満でなくても
ピンフのみの日々の中でも
前に歩いてゆくことが
今よりも少しだけ平和な世界へと
前に歩いてゆくことが
生きる僕らの
少なくとも僕にとっては
とても大事だった友達のうちの
二人には
もう二度と会えない
田舎を離れて東京も離れて
大阪にいるころに
二人目は大阪も離れて
もうすっかり忘れかけた頃に
とくになんでもない普通の日に
その夜には
いくつもの顔が浮かんできた
たったひとつの命でも
こんなにも多くの心が揺れるんだ
S君
お前には
いつかは会えるかもしれない
と思っているんだ
きっとどっかで
何かをつなげるために
そうさどっかで
歩いているんだろう
誰かと生きているんだろう
役満なんていらないんだよ
ピンフも数えりゃ満貫だ
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