純愛歌/海月
 
昼間の暖かさに目を伏せて前を見ないで歩く
そんな君は都会の人々にぶつかり合う
ちっちゃな肩は一度飲まれると探すのに苦労する

聴きなれないメロディーを口ずさむ君
時代に飲まれて消えた純愛歌

数年前に流行ったナイフは未だに部屋にある僕
切れ味を失い輝くこともしない

出会いの最後は決まって別れが付いて来る
丁寧に断ってもその姿は足音を立てず
二人の後ろの慎重に近づいてくる

嘘を吐く時はいつも目を反らす僕
真実にはいつも背を向けている

喧嘩した時はいつも背を向ける君
原因が君じゃなくても謝る

純愛歌の詞はいつも僕らの未来を照らし当てている
困ったぐらいにピッタリ当てるから
何処か心の奥で心配している

二人の結末を描くのは僕らじゃなくて
純愛歌の方かも知れない

暗闇の冷たさに身を潜めて歩く
そんな僕は黒でしか表せない
それでも頭一つ大きい僕を君は見つけやすいと言ってくれた

純愛歌
どうか終わらないで描き続けて
二人の未来が終わりを告げる時まで
そのメロディーを止めずに見ていて下さい


戻る   Point(1)