もつれ/436
子供の頃、釣りに出かけるたびに
釣り糸が絡まっては苦労したものだ。
僕はそういったものをほどくのが
意外と好きだったし得意でもあった。
さて、大きくなってわかったのは
人と人との糸ほどほどきにくいものはないということだ。
実際のところ僕はそういったものもほどくのが
意外と好きだったが得意ではなかった。
そうしてほどけないままの、絡まったままの糸は
次第に一つの大きな塊となり、まるで動脈瘤のように
僕の心と体を痛めつけている。
いつか破裂してしまい、僕が砕けちってしまうんじゃないかと
日々おびえながら、今日も糸を絡ませてしまっている。
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