おっぱい/大覚アキラ
 
おっぱいは夜明けの頃がいい
まだ暗い丘を踏みしめていくように
夢と現(うつつ)の間(あわい)をなぞるように
その危ういしなやかさに頬を預けたい

夜のおっぱいがいいのは言うまでもない
一日の由無し事に倦み
身を守るかのように湿り気を纏ったおっぱい
そのしっとりとした重力を受け止めてやりたい

夕暮れ時のおっぱいもいい
寂しさと孤独を携えておっぱいは街をゆく
重荷であり武器であるそれを
せめてやさしくつつみこんでやりたい

明け方のおっぱいのよさはまた特別だ
ふとんの中でほどよく温められ
重力に抗うことなく横たわるおっぱいを
冷たい掌で包み込んで熱を盗み取りたい
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