エイチピイ/半知半能
誰もこない部屋で
ひとりで待っている
時間がじりじりと
過ぎて
短い一日がおわり
部屋の前を通過する
人の数を
ため息の分だけふやす
月がのぼる
部屋を抜ける風に
カーテンがさざめく
誰もこないへやの
誰かが抱える
小さな段ボール箱には
大好きな飴とか
買ってきた新品のゴムボール
また会おうねと
伝えるための古い便箋が
ただ
入っている
月がのぼる
声が
聞こえたような気がして
そっと立ち上がり
耳をすませる
隣の部屋で
知らない誰かと
知っていたかもしれない
誰かが
いつまでか
話している
静かな部屋に
伝わる音がこ
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