夜の散歩者 〜 反射鏡を探して 〜/服部 剛
 
み 
( 包んだマフラーの隙間から
( 時折漏れる鳴き声を聞きながら
( いつまでも膝の上で暖めていた 

  *

振り返れば
自分が望む「型」に誰かをはめてしまう度(たび)
身勝手な愛情に
互いの骨はいつも
鈍い音を立てて折れた

いつからか 
想いを寄せる誰かを
遠くから眺めたまま立ち尽くしている私の影は
人知れぬ雨の夜道を歩き出す 

  *

今夜 私には 
雨宿りの場所が無い 

孤独な夜の散歩者は
アスファルトに響く雨唄と
ビニール傘に滴る雨垂れの 
二重奏に身を浸しながら 

雨の夜道の向こうにいる
君の服に透けて見える反射鏡と 
私の服の下に嵌(は)め込まれた反射鏡が 

一瞬の光を照らし合う

夢を見る 







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