夜の散歩者 〜 反射鏡を探して 〜/服部 剛
 
今夜 私には 
逢いにゆく人がいない 

孤独な夜の散歩者は
アスファルトに響く雨唄と 
ビニール傘に滴る雨垂れの 
二重奏に身を浸しながら 
果て無い雨の夜道を彷徨(さまよ)う  

「 今頃君はどうしてるのかな・・・ 」 

と人知れず心に呟きながら 

  *

( 思春期の頃 
( 真冬の深夜に上着を重ね
( 白い吐息を夜闇に昇らせ 
( 一心に自転車のペダルを漕いだ 

( 辿り着いた駅の屋根上には野良猫の塒(ねぐら)があり 
( 投げた石ころで音を鳴らすと
( いつも野良猫は駆け寄ってきた 

( 無人の駅のベンチに忍び込み 
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