宵のヒナゲシ/
A道化
春の底に吐息する
ヒナゲシの色彩の
ポッ、と尽きて灰になる予感に
逆らわず、半音ずつ春の底へ
半音ずつ春の底へ、身を委ね、静まる
少女のスカートがフレアを
静かに喪失する宵、まるく生暖かい涙目に
ゆらゆら緩い天井が
たいへん素肌っぽくて、ああ、たいへん素肌っぽくて
横たわった体勢のまま突如激しく
夜が明ければもう夏だと思うのです
2006.5.23.
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