緑のトンネル/遊羽
 
緑が目にしみます
僕は
捨てなければならぬものを
いくつも背負い込んでは
その捨て場に
迷っています
そのうえ
次から次へと
捨てたくなってしまうものが
増えてしまい
捨てることもまゝならず
忘れるにはあまりに
色濃すぎて
緑ばかりが目にしみます

この緑のトンネルの中
僕はがむしゃらにスロットルを握り
何でもいゝ
何でもいゝから
一つ一つ
振り払おうとしています
留まることも忘れ
ボロボロになった姿で
まとわりついてくる悲しみを
なんとか振り払おうと
必死になっています
それでも
緑のトンネルは優しく
僕を包むだけ
結局
傷が癒えていくのを
待つより仕方がないのです

緑が目にしみます
僕のオートバイは
緑に向かって
走っています


[グループ]
戻る   Point(4)