巡礼/ゼッケン
 
の横で、男の子は泡を吹いているだろうか
さそりに刺された毒の痛みよりも、初めて味わう裏切りに白目を剥いて全身を痙攣させているだろうか

男の子は苦しい
小さな胸は恐れにおしつぶされんばかり

男の子を乗せた救急車が元来た道を戻ってきて おれは
電柱の陰から飛び出してはねられ、アスファルトに叩きつけられる
救急車はおれを男の子の横に乗せてふたたび走り出し、おれは
この世でもっとも親愛なる弟子の幼い手を握り、これからはなにもかもうまくいく、と
呟いて目を閉じる

これからはなにもかもが、うまくいくのだ
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