この手に掴んだはずの栄光がないよ/こめ
コンクリートが暑い季節に
僕は寒気がした
こんなに暑いのに
心は氷点下だった
電車に身を任せて
僕はいくあてなしに
がむしゃらに現実から逃げていた
この手に今まで
掴んだはずの栄光は
全部無惨に手からすり抜けていった
最終線の最終駅についた
無人のホームの中で
ぼくは一人で景色に見とれていた
この手が掴んだ栄光はもう無い
そんなことは分かってる
この手が落としたモノはもう拾えないのかな
景色に色が付き
最後は闇になる
掴んだモノはいつしか
無くなってしまうんだな
こんな僕は似合わない
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