「夢」 〜 新宿にて 〜 /服部 剛
た雲間の空に
( 在りし日の
( 詩人が夢に呟(つぶや)いた
( 風に揺らめく黒旗は
( 二十一世紀の空にも消えることなく・・・ *
人波の
川の流れの畔(ほとり)には
影に隠れたダンボールの家の中で
横たわる人
瞳を閉じて幸福な夢を見ている
( 高層ビル群の上に
( 一つの黄色い風船が昇ってゆく
( 誰に気づかれることなく
( 手の届かない場所へ
やがて全ての情景は幻へと薄れゆくだろう
( 階段を上る人々の後ろ姿は新宿駅の入り口に吸い込まれ
( 揺れる無数の頭とビル群の輪郭は消え去り
( 淀(よど)んだ空の雲に透けた白い太陽の下
( 音の無い世界で
( 一面に無数の色の花々が
( 風に揺れている
* 7連目は中原中也の詩を参考に書きました
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