「夢」 〜 新宿にて 〜 /服部 剛
祝日 新宿の午後は人波に溢(あふ)れて
逃れるように僕は古びた細い路地に入る
道の両脇に聳(そび)え立つ高層ビルの壁に挟まれた
細い空を見上げると吹いて来る向かい風
アスファルトに転がるよじれたタバコから
昇る 細い煙
( 何事も無く僕の踵(かかと)は
( 一瞬光る残り火を踏みにじる
振り返ると
古びた路地の奥行きに
手をつなぐ
若いふたりの後ろ姿
この街に
探し物など何も無く
若き日に
手のひらを暖めた永遠(とわ)のぬくもりは
過ぎ行く時間(とき)の流れに消えて
( ふと見上げた雲
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