少女/
かや
一杯のレモン水が
少女の潔い清らかさを崩壊させる
振り払ったはずの
輪切りする手のぬくもりを
思い出す指が水滴に濡れて
この苦悩は
億千と繋がる母らのつらみ
そうであるなら耐えてみせると
こくりと喉を滑らした決意
流しに置かれたコップが光る
蛇口は固く閉められて
ひとつもしたたることがない
少女は寝台に寝転んで
その黒目勝ちな目に
窓の外の真青な空を
つうと物憂げに映してみる
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