mint fish/まほし
 
歯がしくしく痛む夜にミントを、
初夏の風と小さな葉っぱを
コップの水に
くるくる溶かして
蛍光灯の下で、うがいする


クールグリーンの麻酔をかけられて
小骨のように引っかかっている、ことばの
なき声を
忘れても


月は ゆっくりはやる速度で
   光を滴らせるでしょう


星は 空だけでは飽き足らず
   地上にもさらさら
   降り注ぐでしょう


ヒートアイランドに閉じ込められた
幾多のサイコロの中で
魚は、
液晶画面に幻影を浮かべながら
瞳をめぐりめぐって


ことばは 泳いでいくのでしょう


身体の隙間に
か細い輪郭を残しても


帰巣本能のまま 、海へ



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