きゃんきゃんぶるー/かぜきり
まるで
まるでなにごとも
なかったかのように
空をあおく塗り
海をあおく塗り
水平線もあおでひき
青い浜辺を少しだけたして
仔犬をいっぴきかきそえる
首に首輪がいくつか
くびわに引き手がいくつか
名前はたぶんどこかのちぎれた過去で
隠すかのように横線がいくつか
まっさおな紙の上で
仔犬はひとり
ときどきくびのあたりを後足で掻き
そのたびに横線が奇妙に揺れる
なにごともなかったかのようま
あおい世界で
まるでなにもなかったのような
あおい世界で
仔犬の色は
仔犬の色は
あおにしか見えず
涙をこぼしたのは
わたし と
わたしと
わたし
と
わたし
と
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