そこに いる/英水
シャープペンシルが軋む悲鳴の
夜がやってくる
割れた背中を 走る糖脈
じりじりと 焼けだす汗
闇と競いだす白
ソルソンバシルが深く肉に食いつき 水を破壊し
水紋を数枚割って 逃走する陽光
泡盛が 奔流となって沖合いに流れ出し
月が毛細血管を煮沸しながらやさしく貫く
磨きぬかれた 頭骨の砂が 一斉に芽吹いた
沸騰する黄色を いくら摘んでも
口をあける 月の行列
トラセ・レギュラツゥール
白い神殿の上に
今日も 同じ月が昇る
この夜
僕は 今 たしかに そこにいる
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