醜い音速自転車/こめ
どしゃぶりの雨の中で
僕は大粒の涙を流しながら
自転車を全力でこいでいた
頬にあたる雨がちくちくしていたかった
どうせ僕なんか醜いだけさ
他人はぼくの欲しいモノを持っていて
僕はそれを奪い取りたかった
悲しみが怒りに憎悪となって跳ね返ってくる
もうどうでもいい
こんな人生は辛いだけだ
ビショビショになった制服が重くなっていた
僕の目から流れる水は雨なんだ
涙じゃないんだそう自分で言い聞かせ
息切れを起こしながら音速より早く
僕の自転車はどんどん速くなってくる
すれ違う人たちはみんな悪魔のようなささやきを
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)