醜い音速自転車/こめ
 
どしゃぶりの雨の中で

僕は大粒の涙を流しながら

自転車を全力でこいでいた

頬にあたる雨がちくちくしていたかった

どうせ僕なんか醜いだけさ

他人はぼくの欲しいモノを持っていて

僕はそれを奪い取りたかった

悲しみが怒りに憎悪となって跳ね返ってくる

もうどうでもいい

こんな人生は辛いだけだ

ビショビショになった制服が重くなっていた

僕の目から流れる水は雨なんだ

涙じゃないんだそう自分で言い聞かせ

息切れを起こしながら音速より早く

僕の自転車はどんどん速くなってくる

すれ違う人たちはみんな悪魔のようなささやきを

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