詩人宣言/窪ワタル
「彼、自称詩人なんだって。」よみきかせの仕事をくれた女性にそう紹介され、挨拶をしたことが二度ある。心の中で“自称は余計だよ”とおもいながら。
世間で「詩人」と云う存在がどんな風に扱われているか大体見当が付いている。詩人は皆、自称なのだ。現代詩文庫なんかに収録されている方達でさえ、詩だけで生計を立ててなどいないだろう。先日、国民的詩人の谷川俊太郎氏にお会いする機会を得たが、どうやら谷川氏でさえ、詩だけでは食えなかったらしいのだから、もし、詩だけで食っている方があるとすれば、銀色夏生氏ぐらいではないだろうか?
通常、肩書きとは、同時にその人の生業を表すらしく、詩で食っていない私は、やはり
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