愚 問/虹波
会うことができなくなって
一年が経つ
愛の残骸を舐めながら
目の前の幸せにすがりついて
白い胸に泣く
あなたにとった態度が
本当にこれで良かったのか
今だに
追憶の迷路の
同じ曲がり角に来た瞬間
鋭い剣が私を刺す
何度も思考する
その腕を振りほどかなければ
二人して溺死だった
どちらにしても出口はなかった
まるで二人の毛髪が
複雑に錯綜して詰まってしまった
鏡張りの配水管みたいに
何故あの時私をかばったの?
あなたが罪を被るのを承知で
そう聞くのは
愚問だろうか
今でも私を
愛してくれていますか
そう聞くのも
やはり愚問でしょうか
届かぬ体温
散らばる夢
守りたい情熱を
幾千の雹が
真上から突き破る
破裂した部分から噴き出した慟哭の泉
殺しかけていた愛が今
配水管を埋め尽くし
沈黙の絆が横たえていく
戻る 編 削 Point(1)