春の夢 /服部 剛
 
春の日のベンチに腰かけ 
ひらひらと舞い落ちる 
桜の花びらを見ていた 

肩越しに吹き抜ける風が 
「 誰かの為に身を捨てる時
  そこに天はあらわれる 」 
と囁いていった 

散り始めた桜の
枝々の隙間の空色に
輝く太陽
陽射しに暖められ
ベンチに腰かける私は眠りに落ちる 

  〜

満開の桜並木のトンネルを抜けると 
草木一つ無い上り坂の向こうに 
青空の下 
禿鷹(はげたか)の頭の形で 
丘が盛り上がっていた 

低い頂上に 
十字架に架かる人が 
力なく頭(こうべ)を垂れていた 

( 背後には地に照りつける太陽が高く
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