不器用なキャッチボール/海月
 
で最後の全身全霊の一球
君の頭上を高く超えて消えていったよ

あの日に君と投げた空き地は来月からビルの工事が始まるみたいです
あの日に君と投げた空き地はもう二度と何も投げることが出来ないみたいです
不器用に「逢いたい」と言えずキャッチボールは続いている

たった一言を言葉に出来れば
僕は迷わずに君を誘い出せるだろう

あの日までにと僕が投げるボールに込めた想いと願いを高く高く
あの日にいる君へと投げたボールはその真意を確かめるために
不器用に未だ空き地で待ち続けています

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