醜い四月に/窪ワタル
 
飛び上がった身体は
地面から順に世界を捨てていったのだ
アキレス腱からハムストロングにかけては
やはり加速が強いが尻では一端躊躇する
背中はすべてを覚悟していただろう
椎間板の辺りか胎盤のまでは分らないが
子宮だけは傷つけたくはなかったはず

セックスをするのを止めてから
乾いてしまった君を
繋ぎ止めることが出来なかったのは
僕が言葉を知らないせいだとおもっていたけど
どうやら違う 

美しくないものは存在する価値がないの

というけれど 世界は有機体なので
そんなに過不足なく成り立っていないよ
と 今ならもう少し優しく云える

墓標はてらてらと光り過ぎ
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