桃色の桜/蒼木りん
きみと二人腕組み
帰りに祭りの町へ出て
当たり前のように落ちていた金を拾い
500と100と10円を分け合って
屋台で買い物でもしよう
桜の花祭りの角を曲がれば
私の田舎の田んぼ道で
住宅が建つ前の
田んぼと畦しかないような
いまはありえない風景に
ありえない桜並木
鮮やかな桃色の桜
あんな美しい光景を
きみと見ていいのだろうか
そのときの感情は
うら若き青年のきみと
既婚者の私の二人連れ
誰に咎められることもない
自分も咎めることもない
夢の中で夢と自覚しているのだから
腕を組んで微笑めばセックスもいらない
ここは
桃色の桜が咲く
ありえない場所なのだから
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