僕らは沈黙に愛されなかった/ユメアト
香水瓶のかけらを含んだ
アイスクリ−ムを
丸呑みするように
あなたを想うことができたらよかった
腐った林檎を塵箱に押し込みながら
あなたは言う
「はじめから、食べられない林檎なら良かったのよ」
安っぽい、バラの造花が好きな
あなただった
僕らは一生をかけたって、
舌に触れるとつるりと
しこりを残さず消えていく
そんなアイスクリ−ムにしか出会えない
舌のない
沈黙をたたえた
唇は必要としないだろう
だって僕らは
言葉に呪われ
沈黙に見放されている
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