ヒルネ/蒼木りん
昼寝とは気休めの休養で
目を閉じても
窓から
風にゆれる洗濯物
瞼の裏に光と影を忙しなく映す
今日は
住宅街の静寂には程遠い日曜日であった
暗闇と
夜のような静寂でしか
本当の安らぎの扉は開かないのだなと
なんとなく思う
物音に
神経がいってしまい
洗濯物が乾いていくのを
下から眺めた
向こうには霞んだみずいろの空
風は
なぜ吹くのだろう
ピタと止む日はあっただろうか
あるのだろうか
海が波うたなくなったら
月が砕けてしまったなら
時の生命の音の
すべての流れが止まってしまったなら
霞んだ空の向こうの話まで
想像しても
明日は
そうやって意識を失くした向こうにある
洗濯物は
戻った意識の象徴となって
瞬きをしてもそこに
ゆれていた
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