別れ/冬人
 
今年もまた春が来る

儚い桃色の花の季節

柔らかい空気の季節

その季節を前に

冷たい風が吹いた



またねと手を振り

あなたは歩き出す

私と違う方向へ

その背中を照らす月の光が

昔日の記憶をセピア色に染めた



柔らかい風が吹いた

背中はもう見えない

私はただ静かに佇む

煙草の煙が夜空に昇る

煙草を吸う笑顔のあなたを

隣に感じた気がした


さようなら・・・

また会う日まで・・・







戻る   Point(3)