別れ/
冬人
今年もまた春が来る
儚い桃色の花の季節
柔らかい空気の季節
その季節を前に
冷たい風が吹いた
またねと手を振り
あなたは歩き出す
私と違う方向へ
その背中を照らす月の光が
昔日の記憶をセピア色に染めた
柔らかい風が吹いた
背中はもう見えない
私はただ静かに佇む
煙草の煙が夜空に昇る
煙草を吸う笑顔のあなたを
隣に感じた気がした
さようなら・・・
また会う日まで・・・
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