両目に潜む鬼/ユメアト
 
指の間から墜落して

フロ−リングの床の上で
こん
と音を立てた

今年鬼のお面を被った弟も
彼に豆を投げつける二人の両親も

二つの穴から覗く目が
どんなに恐ろしいかに
気が付かない

あたしは毎年 豆まきをする

今年も する

鬼のお面から半分だけ覗く弟の目が
とても恐かった

あたしは豆まきが終わったら
お面を燃やしてしまおうと思って
ポケットのマッチを探す

落花生がポケットに入りこんで
マッチは行方をくらませた

あたしはしかたなく
弟の両目めがけて落花生を投げつけた
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