無言の声援 〜同僚のMさんに〜 /服部 剛
音楽好きな老人ホームの所長と
週に1回演奏してくれるピアノの先生と
介護職員の僕と
レストランで夕食を共にした帰り道
最寄の駅に先生を車から降ろした後
夜の空(す)いた国道を走りながら
助手席の僕は最近気になっていることを
所長に告げた
「 同僚の M さんが元気ないんですよ・・・
去年の夏長年付き合ってた彼と別れてから
胸にぽっかり穴が空いてしまったようで
毎日瞳は虚(うつ)ろ
仕事でも周りの皆と食い違い
心を頑(かたく)なに閉ざしています 」
自宅に近い駅で
所長の車から降りた僕は
夜の道路
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