海岸線の真上にて/
まきび
ない
なあ
答えを教えろとは言わないからさ
もう一度だけ
大きい声で言ってくれ
今度は僕にもよく聞こえるように
潮風なんかに負けないように
「青さなどもっていないよ」
なんて君、ほんとうは言わなかったんだろう
どう考えてもおかしな言葉だもの
あの時風が強くって
よく聞こえなかったんだ
もしあれが別れの言葉なら
何度でも聞き返したはずなのに
さようなら
僕たちの未来には
この海岸の砂の数を数えるほどの
永すぎる時間があると思っていたんだ
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