あなたのなまえ/まきび
 
同窓会の案内状を書いていて
あなたのはがきで手を止めた

あなたとは
卒業してから少し後
雨上がりの路上であった
それっきり

好きだとか
嫌いだとか答えずに
フランクなさよならすら言わないまま
あなたとわたしは別れた

その後も
無理に自分を納得させなければならないほど
あなたのことを思い出しもせず
友人との恋愛話に引き出したとき
時折感じる静かな罪悪感を
望郷の四柱の一本に
人に見つからないように
くくりつけながらやってきた

私はいつの日だか
カップ一杯のコーヒーを手渡すためだけに
誰かのそばに居たいと思った
けれどどうして
愛してくれると
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