春の夜/海月
 
君が見せる曖昧な仕草
僕を迷い落とす
遠くで鳴り響く電話
静寂を打ち破る

甘い夢の途中
苦い愛の行為

冷える身を二人抱き合えば
不思議と未来永劫
幻想を其処に宿す
一瞬の瞬きで二人は明かす
今という現実

希望を並べたら月まで届く
至福なんて一瞬
目覚めれば隣の君はいない
置手紙に書いて在るのは
「探さないで下さい」

冷える身に春風
温もり身に永住

いつの間に外は雨
情熱の灯は消され
残された灰に名前があるのなら
僕が丁寧に描き上げた
たった一枚の絵

思い出なんて時間と共に昇華されるけど
絵は永久に飾り
二人の行動を残す
今、一人で部屋で春の夜をやり過す


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