早月/アルビノ
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子どもを産んだら早月(さつき)と名付けようと決めていた。
だけどぼくは子宮を持っていない。女には興味を持てなかった。だからといって、男に興味がある訳じゃないが。詰まるところ、ぼくは他人に興味を示せずにいたのだ。
愛するというステップより数歩前、他人の必要性がぼくにはわからないんだ。
だけどぼくは孤独を知っている。他人を欲したりはしないが、ぼくは孤独を感じてる。漠然としたものじゃない。ぼくは早月を求めてるんだ。
早月という女を知っている訳じゃない。早月はぼくの子。きっと産まれてくる、かわいい早月。ぼくだけを愛し、理
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