蒼 穹/虹波
木漏れ日の美しいベランダの際で
娘ははしゃいでカーテンにくるまる
私の綻ぶ顔を誘い出そうと
自分の顔をわざと覆い隠すようにして
声を上げて笑う
南の風は
私の深い溜め息と溶け合って
懐かしい音楽を振りまく
あなたが好き好んで聴いていた旋律
いや本当は
私に
謝る代わりに聴かせていたのかも知れない
私の長い黒髪は
落ち着いたリズムに乗って躍り出す
何となく口元が緩む
娘がカーテンから顔を出して
したり顔してる
二人で生きていく
覚悟はできていた
涙の通る頬の上の路は
ようやく塞がりつつある
熱を帯びた可視光線上の蒼が
雨水で染みて変色し
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