寂しがり屋に春舞い降りる/炭本 樹宏
 
 近くて遠い自分という存在
 透明の時間の中では
 まったく無力 この自分

 体だけでかくなっちまって
 アダルトチルドレン

 いくつもの春を通り越してきたけど
 気がつくのが遅いんだ
 喜んでたら終わってる春

 失ったものよ
 戻ってきておくれ
 今までの過ちをすべて償うから

 木枯らしのなか
 胸騒ぎのなか
 切なさのなか
 無情のなか
 失ったものが多すぎた厳冬

 尖った心に
 慰めの詩を

 寂しがり屋にだって
 春を謳歌させてくれ



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