花葬/海月
拝啓
蓮の花は水の上に生涯を浮かべ
蓮の花は水の下に生涯を落とす
今日も一枚水の下で眠りにつく
地面の上で僕ら人は生涯を生きる
永い眠りにつく時は地面の下
その時人々は満月のような涙を落とす
蓮の花に淡い夢を見せ
中心からの侵食は止まず
一枚一枚波に流れる
貴方の上で僕は少しずつ成長をする
貴方は水のように冷たい地で眠る
枯れ逝く花のように静かに眠る
追い駆け合う紅い月と白い太陽
波紋の幻想を見せ続ける
僕の未来は花葬のように静かに
暗闇の中へと流れ込みたい
そう、貴方の元へ
残されたのは欠けた蓮の花
二枚の花弁は水の中に沈む
花葬を目の前にして僕ら人は生きる
日に日に一枚一枚眠りにつく
永遠に続くのは満月の輝き
その光を浴び僕は生きている
敬具
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