春 待 つ 君 へ/海月
 
冷え性は物心ついた時から
指先や掌は誰よりも冷たかった
「氷の手」と呼ばれ続けられていた
こんな呼び名が変わることはないだろう
君が僕の手に触れるまでは

春 待 つ 君 の 
 そ の 手 は
  僕 よ り
   
花粉症は背が少しづつ伸び始めた時から
春は誰よりも嫌っていた
「「普通の手」と呼ばれるのはこの季節だけ」と
君は僕に涙目で言ったことを覚えている
ある春の日君の手が冷たくなっていた
それは何時もの君の手の温もりよりも

春 待 つ 君 は
 こ の 日 に
  僕 よ り 
   先 に

春 が 来 る 度
 思 い 出 す
  切 な い
   季 節

春 待 つ 君 へ
 ま た 春 が
  来 た よ
   一 言

春 待 つ 君 へ
 温 も り は
  あ の 日
   か ら

春待つ君の手の温もりは
今日の風のように冷たさの中の暖かさ
「思い出」と化すのは流れる月日の分だけ
春を誰よりも嫌い続ける理由は
君の事を又思い出すから


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