輪郭に、沿う/A道化
 





さらさら濡れた
無数の、無数の斜線が
零度近くにまでうつむきながら
真昼に満ちた薄暗い灰を切断する
と、真昼は
一層暗い灰に満たされてゆく


斜線は
あらゆる輪郭を攻めるようで、いて
自ら破損し
輪郭に沿って
単に雨だった振りをして
無数の、無数の、冷水の音をさせ


あなたがたは、
次々と、次の無数の斜線に攻められるようで、いて、
無数の破損を受け止めてゆくのだ、
すでに破損したものと次に破損してゆくものだからこそ、
はじめからひとつだったみたいに馴染み合い、
輪郭に沿ってひとつの薄暗い滲みとなり、
黙り、


すべてが切断面となり崩れ落ちた真昼の
跡地の低い輪郭に沿って
完全に黙ってしまったあなたがたは
自分がまだ濡れていることを
ねえ、知っているだろうか



2006.3.21.
戻る   Point(3)